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長野家庭裁判所飯田支部 昭和31年(家イ)48号 命令

申立人 斉田はな(仮名)

相手方 高田義一(仮名)

主文

相手方は本件調停終了に至るまで、申立人方に現在するミシン、洋服箪笥、茶箪笥、その他家財道具を搬出し、又は売買、贈与、その他一切の処分行為をしてはならない。

この命令に従わないときは五千円以下の過料に処せられることがある、

(家事審判官 山本五郎)

申立の実情

一、申立人は八歳になる男子一人を連れて、昭和三十年三月相手方と結婚しました。相手方には子女はありません。

二、申立人は相手方の要求により相当額の金員を貸与して居りますし、お互に市の失対事業に出て働いて得た金で家財道具も買い、申立人は夫に協力し家庭の円満を計ることに協力して来ました。

三、ところが最近夫は家庭を他所に遊ぶようになり、稼いだ金も家に入れなくなりましたので諫言を致しますと、怒つて暴行を加えるばかりで聞き入れてくれませんので、他人に依頼して注意して貰いましたが全く聞き入れてくれません。

四、以上の次第でありますから夫の身が治り円満なる家庭を取り戻すことの出来ますよう御調停を願います。

上申書

申立人 斉田はな

相手方 高田義一

右当事者間の御庁昭和三一年(家イ)第四八号家庭円満調停事件につき、相手方は本月七日以来家出して姿を見せませんでしたが本日相手方は申立人を訪ねて来て、申立人方に現存する左記の家財道具を他え持ち出してしまうと言つて居りますが申立人はこの家財道具は当事者で失業対策事業等に出て買つたもの(一部借金のものもあり)で相手方の一方的な処分は出来ないものと思いますので何卒本調停終了に至るまで左記物件について他の売買贈与したり、搬出をしてはならない旨の調停前の措置命令をお願い致したく上申いたします。

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